夜の女たち
占領下の日本を巨匠・溝口健二が独特なリアリズムで描いた傑作映画『夜の女たち』を演出家・長塚圭史が多彩なキャストとスタッフを集めてハイブリッド・ミュージカル化! 戦後間もない1948年に公開された溝口健二監督の映画『夜の女たち』を、演出家・長塚圭史が舞台化したオリジナルミュージカルを放送・配信する。 社会や男性の犠牲になる女性たちを描き続けた巨匠・溝口監督。『夜の女たち』は、米軍占領下の大阪・釜ヶ崎(現あいりん地区)を舞台に、転落していく女性たちと激動の時代を生々しく映し出し、社会派群像ドラマとして大きな話題となった。 今回の舞台作品では、戦争で夫を失い“闇の女”へと落ちていく主人公・大和田房子を江口のりこ、進駐軍向けのホールでダンサーとして生きる房子の妹・君島夏子を前田敦子、時代に翻弄される若者で房子の義妹・久美子を伊原六花が演じ、彼女たち3人の姿を通して、戦争が引き起こす市井の人々の生活や精神の破壊と、湧き上がる人間の生きる底力を、長塚圭史が作曲家・荻野清子とともにミュージカル作品として立ち上げた。ミュージカルにすることで、言葉にしにくい心の内を歌い上げ、時代の空気そのものを歌として表わし、力強く生きた庶民の姿を鮮明に描き出す。今の時代に忘れてはならない、占領下を生き抜いた日本人の物語に注目していただきたい。